『お私立 花村学園』を見ました

今年の記憶は今年のうちにということで。
振り返りとかじゃないです。

今年は疫病の影響で、行きたかったイベントが中止になったり、それ以降もリアルのイベントは延期や中止になって寂しい上半期でした。
私がリアルイベントに参加出来たのは夏とかかな。
現場主義ではないけれど、行ける時に行けるものは行くという生き方をしていた自分も参加出来るものが少なくて、徐々に解放された小劇場なんかをメインに見ていました。

推しは活力なので、手洗いうがいマスク、外出先でもこまめに消毒など気を付けて現場にいくつか行くようになりました。
そして、年内最後の現場が『お私立 花村学園』

www.hanamura-gakuen.com

昨年宝塚を卒業された元男役の如月蓮さんの主演舞台。
私は如月さんが大好きだったので、喜び勇んでチケットを取りました。が。
もうびっくりするくらい『物語』としての無駄が多過ぎました……!

まずタイトルにある『お私立』、これ別に私立である必要性をまったく感じませんでした。
登場人物のうち学園で一番偉い立場が絡んでくるとかなら分かるのですが、学園長は不在で孫娘にあたる姉妹の女教師二人が「伝統が~」みたいな話を少ししたりするのですが、権力があるみたいな設定ではないので、正直彼女達の立場がよく分からない。
また、従妹にあたる女生徒もいるけれど、彼女も従妹であるという設定が必要なのか不明。

そして何より生理的に許せない・気持ち悪かったのが、教師と生徒の恋愛がオープン且つ誰も反対する素振りない狂った古い世界観……!
昨今少女漫画ですら、教師×生徒のような成人と未成年の恋愛は嫌がられる時代。
にも拘わらず『女王様系女教師と気弱な男子生徒(婚約している)』『人目もはばからず男性教師にアタックする女生徒』『学園一のイケメン男子生徒を狙う女性保健医』『その女性保健医を狙う男子生徒(兄)』『兄の応援をしているうちに、同じく女性保健医を好きになってしまう男子生徒(弟)』『セクシー系女子生徒に惚れている男性教師』………令和だぞ!!!!!
主人公が学園一のイケメン、ヒロインは転校してきた美少女、二人は子供の頃家の都合で離れ離れになったけれど再会を約束していた幼馴染、それを巻き込んだ学園模様……という内容なので、学生同士の恋愛描写もあるにはあるのですが、圧倒的に成人と未成年の描写が丁寧で多過ぎて気持ち悪かったです。

更に更に。広げるだけ広げて回収されない無駄な風呂敷はなんだったの
物語の最中、色々あって主人公とヒロインの心が入れ替わる、という展開がありました。イケメンの身体にヒロインの心、ヒロインの身体にイケメンの心。これはベタだけど良いですね!
「一日一回心が入れ替わるけど、その間は洋服を脱いだり出来ない」という丁寧な設定まで!
そして、外見はそのまま性格が変わるということで、今回イケメンの男の子を演じるのが元男役で宝塚を退団し女優した如月さんということに納得しました。
格好良い男役と同時に、可愛い女の子の演技をする如月さんも見られる!ファンにはとても優しく嬉しい脚本!と思いました。……その時は
入れ替わった回数、二回。一度目は「入れ替わるよ」ということの実践。二度目は様子がおかしいイケメン(中身ヒロイン)がケンカを仕掛けられるも、途中でちゃんとイケメンと内面が戻ったので、本当に必要がなかった。その後は特に入れ替わり、ナシ
もったいない……。これだったら主役を元男役の女優にやらせる必要が全くない……。と言うか何で元男役とは言え三十代の女優を主役の男子高校生役にしたんでしょうか……。

もっと分からなかったのは、少し触れましたが『女性保健医に恋する兄の応援をしていたら、自分も同じ女性を好きになってしまった弟』の話。
彼一人出てきて「俺も実は先生を好きになってしまった、どうすればいいんだ」のような場面があるんですが、その伏線まったく回収されず、ラストシーンでは結ばれる兄と保健医を見て「兄さんおめでとう!俺も新しい恋を探すよ!」と爽やかな笑顔。
…………??????そんなあっさり気持ちにケリつけられるなら、さっきの一人語りなんだったの?あんな尺とってやる話?
ラストはそれこそ最終回発情ではないですが、最初に挙げたカップルと主人公カップルが全てくっつきます。祝福ムードだけど主人公以外のカップル犯罪だからな……と全然すっきりしなかったです。

あとアニマルオリンピックを応援している公演というのは何となくサイトなどで発信していたので知っていたけれど、お芝居パートの最中に「ホームルームよ~!」と役者ではなく協会の方を舞台に上げて短い講演をさせたのも、どうかと思う……!
『演技をしていない人間』を舞台に上げてしまうと、作ってきた虚構と現実がぶつかりあって舞台に違和感が生まれてしまうし、大事なお話も全く入って来ない。
二幕が学園祭ライブというていの色々なゲストユニットの発表会みたいなものだったから、その枠を長くとってちゃんとお話をして頂く方が良かったと思うなあ。

倫理観と言うかセンスが全部古臭い。アップデートした自分の価値観からは気持ち悪さしかない。脚本も今書いたこと以外にも粗が目立つしデリカシーがない。
こんな最悪の脚本ってあるんだ、と思いました。私は結構駄作判定甘々で世間の評判が悪くても「め~っちゃ楽しかった!大好き!」と言うタイプなんですが、ここまでひどい内容に出会えたことは笑えるくらい奇跡だと思います。

ただ、舞台に立つ如月蓮さんを見られたことが嬉しかった。
彼女が格好良くて、かわいくて、楽しそうだった。蓮さんが元気に踊っていれば幸せ。
また蓮さんの舞台は見たいな、女優としてもとても美しい人だから。


このモヤモヤを来年に持って行きたくないから、ネガティブなことだけ書きました。
蓮さんとヒロインの朱ちゃんが可愛かった以外、ネガティブな感想しか浮かばないの、逆に面白かったのかもしれないね。